名草山言にしありけり我が恋ふる
千重の一重も慰めなくに
- 歌の意味
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名草山とは名ばかりのことであったのだ。私の恋しい思いの千分の一さえも慰めてはくれないのに。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1213
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
「慰む」という意味を名に響かせる名草山であるのに、恋しい思いの千分の一も慰めてくれないので、名ばかりだったと嘆く一首である。地名にかけた言葉遊びの中に、深い望郷と恋慕の思いがこもっている。
二句「言にしありけり」は本巻の第千百三十二首、第千百四十九首、第千百九十七首と同じで、地名や物の名が名ばかりであったと嘆く型を共有する。名草山は紀伊の和歌山市南部の山である。古集に出る歌とされる。作者は未詳である。
初句「名草山」は紀伊の山の名で、「慰む」の意を響かせる。
二句「言にしありけり」は、名ばかりのことであったのだ、の意で、二句切れとなる。
三句「我が恋ふる」は、私が恋い慕う、の意である。
四句「千重の一重も」は、千重のうちの一重も、の意で、ほんのわずかも、ということを表す。
結句「慰めなくに」は、慰めてくれないのに、の意。初句の「名草」と結句の「慰め」とが響き合っている。
なぐさやま:紀伊の山の名に、「慰む」の意を掛ける
なぐさむ:心を晴らす、慰める
- 出典
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万葉集
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足代過ぎて糸鹿の山の桜花 散らずもあらなむ帰り来るまで
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安太へ行く小為手の山の真木の葉も 久しく見ねば蘿生しにけり