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磯に立ち沖辺を見れば藻刈り舟
海人漕ぎ出らし鴨翔る見ゆ

歌の意味
磯に立って沖の方を見ると、藻を刈る舟を海人が漕ぎ出したらしい。鴨が飛び立つのが見える。
鑑賞
巻第七 雑歌 1227

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 磯に立って沖を眺め、鴨が飛び立つのを見て、海人が藻刈り舟を漕ぎ出したのだろうと推し量る一首である。鳥の動きから人の営みを察する、観察の細やかな叙景歌である。
 本巻の第千百九十九首「藻刈り舟沖漕ぎ来らし妹が島形見の浦に鶴翔る見ゆ」と構成がよく似ており、藻刈り舟の動きを鳥の飛び立ちから推し量る点で一致する。あちらが沖から漕ぎ来る舟、こちらが漕ぎ出す舟を詠み、対をなしている。古集に出る歌とされる。作者は未詳である。

 初句「磯に立ち」は、磯に立って、の意である。
 二句「沖辺を見れば」は、沖の方を見ると、の意である。
 三句「藻刈り舟」は、藻を刈る舟をいい、第千百九十九首の初句と同じ語である。
 四句「海人漕ぎ出らし」は、海人が漕ぎ出したらしい、の意。「らし」は推定で、四句切れとなる。
 結句「鴨翔る見ゆ」は、鴨が飛び立つのが見える、の意。第千百九十九首の結句「鶴翔る見ゆ」と同じ型である。

めかりぶね:藻を刈る舟
かも:鴨
出典
万葉集
前の歌
三輪の崎荒磯も見えず波立ちぬ いづくゆ行かむ避き道はなしに
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風早の三穂の浦廻を漕ぐ舟の 舟人騒く波立つらしも