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静けくも岸には波は寄せけるか
これの屋通し聞きつつ居れば

歌の意味
なんと静かに岸に波が寄せていることよ。この家の中を通して、その音を聞いていると。
鑑賞
巻第七 雑歌 1237

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 宿の家の中で岸に寄せる波の音を聞いていると、なんと静かに寄せていることかと感じ入る一首である。耳に届く穏やかな波の音に、旅の宿でのしみじみとした静けさが表れている。
 古集に出る歌とされる。作者は未詳である。

 初句「静けくも」は、静かにも、の意である。
 二句「岸には波は」は、岸には波が、の意である。
 三句「寄せけるか」は、寄せていることよ、の意。「か」は詠嘆で、三句切れとなる。
 四句「これの屋通し」は、この家を通して、の意で、家の中から外の音を聞く様子をいう。
 結句「聞きつつ居れば」は、聞いていると、の意。倒置によって感じ入った理由を示している。

や:家、建物
出典
万葉集
前の歌
夢のみに継ぎて見えつつ高島の 磯越す波のしくしく思ほゆ
次の歌
高島の安曇白波は騒けども 我れは家思ふ廬り悲しみ