見わたせば近き里廻をた廻り
今ぞ我が来る領巾振りし野に
- 歌の意味
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見渡せば近い里のあたりであるのに、あちこち回り道をして、今やっと私はやって来る。あの人が領巾を振った野に。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1243
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
見渡せばすぐ近くに見える里なのに、あちこち回り道をしてようやく、かつて恋人が領巾を振って別れを惜しんだ野にたどり着いたと詠む一首である。近くて遠い道のりに、恋人への思いと懐かしさとがこもっている。
古集に出る歌とされる。領巾を振るのは別れを惜しむしぐさで、巻第五に見える松浦佐用姫の領巾振りの伝説も思い起こされる。作者は未詳である。
初句「見わたせば」は、見渡すと、の意である。
二句「近き里廻を」は、近い里のあたりを、の意である。
三句「た廻り」は、行きつ戻りつして、回り道をして、の意である。
四句「今ぞ我が来る」は、今こそ私がやって来る、の意。係助詞「ぞ」を受けて連体形「来る」で結ぶ四句切れである。
結句「領巾振りし野に」は、領巾を振った野に、の意。倒置によって行き着いた所を示している。
ひれ:女性が首から肩にかけた細長い布
たもとほる:行きつ戻りつする、回り道をする
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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あしひきの山行き暮らし宿借らば 妹立ち待ちてやど貸さむかも
- 次の歌
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娘子らが放りの髪を由布の山 雲なたなびき家のあたり見む