志賀の海人の釣舟の綱堪へずして
心に思ひて出でて来にけり
- 歌の意味
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志賀の海人の釣舟の綱が張りに耐えられないように、こらえきれずに、心に思いを抱いたまま家を出て来てしまった。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1245
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
志賀の海人の釣舟の綱が張りつめて耐えきれないように、別れのつらさにこらえきれず、思いを胸に抱いたまま家を出て来てしまったと詠む一首である。釣舟の綱の比喩が、張りつめた心の状態を表している。
古集に出る歌とされる。志賀は筑前の志賀島で、海人の住む地として知られた。次歌も志賀の海人を詠んでいる。作者は未詳である。
初句「志賀の海人の」は、筑前の志賀島の海人の、の意で、字余りの句である。
二句「釣舟の綱」は、釣舟をつなぐ綱をいう。初二句が「堪へず」を導く比喩となる。
三句「堪へずして」は、こらえきれずに、の意。綱が張りに耐えられない意と、心がこらえきれない意とを重ねている。
四句「心に思ひて」は、心に思いを抱いて、の意で、字余りの句である。
結句「出でて来にけり」は、家を出て来てしまった、の意。「けり」は詠嘆を表す。
つな:物をつなぐ綱
あふ:こらえる、耐える
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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娘子らが放りの髪を由布の山 雲なたなびき家のあたり見む
- 次の歌
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志賀の海人の塩焼く煙風をいたみ 立ちは上らず山にたなびく