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志賀の海人の塩焼く煙風をいたみ
立ちは上らず山にたなびく

歌の意味
志賀の海人が塩を焼く煙は、風が激しいので、まっすぐに立ち上らず、山にたなびいている。
鑑賞
巻第七 雑歌 1246

詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
 志賀の海人が藻塩を焼く煙が、強い風に吹かれてまっすぐには立ち上らず、山の方へたなびいている情景を詠む一首である。海辺の人々の営みと風の強さとを、煙の様子でとらえた叙景歌である。
 前歌に続いて志賀の海人を詠み、前歌が恋の比喩として海人の釣舟を用いたのに対し、この歌は海人の塩焼きを叙景として詠んでいる。左注「右の件の歌は古集の中に出づ」はこの歌に付されており、ここまでの歌が古集に出るとされる。作者は未詳である。

 初句「志賀の海人の」は、前歌の初句と同じで、二首が一組であることを示す字余りの句である。
 二句「塩焼く煙」は、海水を煮つめて塩を作る際に立つ煙をいう。
 三句「風をいたみ」は、風が激しいので、の意のミ語法である。
 四句「立ちは上らず」は、まっすぐには立ち上らず、の意である。
 結句「山にたなびく」は、山にたなびいている、の意である。

しほやく:海水や藻を焼いて塩を作る
出典
万葉集
前の歌
志賀の海人の釣舟の綱堪へずして 心に思ひて出でて来にけり
次の歌
大汝少御神の作らしし 妹背の山を見らくしよしも