君がため浮沼の池の菱摘むと
我が染めし袖濡れにけるかも
- 歌の意味
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あなたのために浮沼の池の菱の実を摘もうとして、私が染めた袖が濡れてしまったことよ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1249
詞書は前の歌に続き「羈旅にて作る」
愛する人のために浮沼の池で菱の実を摘もうとして、自分で染めた大切な袖を濡らしてしまったと詠む一首である。相手を思って労をいとわない心と、袖の濡れた惜しさとが重なり合っている。
左注により柿本人麻呂歌集所出の歌で、略体の書き方で記されている。女性の立場の歌と見られる。浮沼の池は石見の地名とする説がある。初句「君がため」は、本巻の第千百四十五首などの「妹がため」に対して、女性の側から詠んだ形となっている。
初句「君がため」は、あなたのために、の意で、女性の立場から詠んでいる。
二句「浮沼の池の」は、池の名で、所在には諸説がある。
三句「菱摘むと」は、菱の実を摘もうとして、の意である。
四句「我が染めし袖」は、私が自分で染めた袖、の意である。
結句「濡れにけるかも」は、濡れてしまったことよ、の意。本巻の第千百四十一首、第千二百四十一首と同じ結句である。
ひし:ヒシ科の水草。実は食用とされた
- 出典
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万葉集
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我妹子と見つつ偲はむ沖つ藻の 花咲きたらば我れに告げこそ
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妹がため菅の実摘みに行きし我れ 山道に惑ひこの日暮らしつ