大船に楫しもあらなむ君なしに
潜きせめやも波立たずとも
- 歌の意味
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大船に櫓があってほしい。あなたがいないのに、潜って漁などするものか。たとえ波が立たなくても。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1254
詞書は前の歌に続き「問答」
前歌に海人が答える形の一首で、あなたがいないのに潜って漁をすることなどあろうか、たとえ波が静かでも、と答える。恋人の不在中に心変わりなどしないと誓う女性の立場の歌と見られる。
前歌と一組の問答をなし、前歌の「我れなしに」を「君なしに」、「潜きはなせそ」を「潜きせめやも」と受けて答え、結句「波立たずとも」は同じである。左注に「右の二首は白水郎を詠む」とある。古歌集に出る歌である。作者は未詳である。
初句「大船に」は、大きな船に、の意である。
二句「楫しもあらなむ」は、櫓があってほしい、の意。「なむ」は他に対する願望で、二句切れとなる。
三句「君なしに」は、あなたがいないのに、の意。前歌の三句「我れなしに」と対応する。
四句「潜きせめやも」は、潜って漁などするものか、の意。「めやも」は反語で、前歌の四句「潜きはなせそ」に答えている。
結句「波立たずとも」は、たとえ波が立たなくても、の意で、前歌の結句と同じ句である。
かぢ:舟を漕ぐ道具、櫓や櫂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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楽浪の志賀津の海人は我れなしに 潜きはなせそ波立たずとも
- 次の歌
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月草に衣ぞ染むる君がため 斑の衣摺らむと思ひて