春霞井の上ゆ直に道はあれど
君に逢はむとた廻り来も
- 歌の意味
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井戸のほとりからまっすぐ行く道はあるけれど、あなたに逢おうと思って、わざわざ回り道をして来たことよ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1256
詞書は前の歌に続き「時に臨む」
井戸のほとりを通ってまっすぐ行く道があるのに、あなたに逢えるかもしれないと思って、わざわざ回り道をして来たと詠む一首である。恋しい人に偶然を装って逢おうとする、いじらしい心が表れている。
時に臨む歌の一首で、女性の立場の歌と見られる。回り道を意味する「た廻り」は本巻の第千二百四十三首にも見える。古歌集に出る歌である。作者は未詳である。
初句「春霞」は、春霞が「居る」の意から、「井」にかかる枕詞とされる。
二句「井の上ゆ直に」は、井戸のほとりからまっすぐに、の意で、字余りの句である。
三句「道はあれど」は、道はあるけれど、の意である。
四句「君に逢はむと」は、あなたに逢おうと、の意である。
結句「た廻り来も」は、回り道をして来たことよ、の意。第千二百四十三首の三句「た廻り」と同じ語である。
たもとほる:行きつ戻りつする、回り道をする
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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月草に衣ぞ染むる君がため 斑の衣摺らむと思ひて
- 次の歌
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道の辺の草深百合の花笑みに 笑みしがからに妻と言ふべしや