黙あらじと言のなぐさに言ふことを
聞き知れらくは悪しくはありけり
- 歌の意味
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黙ってはいまいと、口先の慰めに言うことを、それと聞き知っているのは、つらいことであった。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1258
詞書は前の歌に続き「時に臨む」
相手が黙っているわけにもいかないからと、口先の慰めに言う言葉を、それと知りながら聞いているのはつらいことだったと詠む一首である。うわべだけの優しい言葉を見抜いてしまう者の寂しさが、率直に表されている。
時に臨む歌の一首で、恋人の心のこもらない言葉を嘆く歌と見られる。古歌集に出る歌である。作者は未詳である。
初句「黙あらじと」は、黙ってはいまいと、の意で、字余りの句である。
二句「言のなぐさに」は、言葉の上だけの慰めに、の意である。
三句「言ふことを」は、相手が言うことを、の意である。
四句「聞き知れらくは」は、聞いてそれと知っていることは、の意。「知れらく」は「知れり」を名詞化した形である。
結句「悪しくはありけり」は、つらいことであった、の意。「けり」は、改めて気づいた詠嘆を表す。
もだ:黙っていること
なぐさ:慰め、気晴らし
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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道の辺の草深百合の花笑みに 笑みしがからに妻と言ふべしや
- 次の歌
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佐伯山卯の花持ちし愛しきが 手をし取りてば花は散るとも