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時ならぬ斑の衣着欲しきか
島の榛原時にあらねども

歌の意味
季節はずれのまだら模様の衣が着たいことだ。島の榛原は、まだ染める時期ではないけれども。
鑑賞
巻第七 雑歌 1260

詞書は前の歌に続き「時に臨む」
 島の榛原はまだその時期ではないのに、季節はずれのまだらの衣を着てみたいと詠む一首である。まだ年若い娘を、時期を待たずに妻にしたいという思いを譬えた歌と見られている。
 時に臨む歌の一首である。「斑の衣」は本巻の第千二百五十五首にも詠まれ、同じく衣を染めることを恋に重ねている。島は明日香の島の地と見られる。古歌集に出る歌である。作者は未詳である。

 初句「時ならぬ」は、その時期ではない、の意で、結句の「時にあらねども」と呼応する。
 二句「斑の衣」は、まだら模様に摺り染めた衣をいう。本巻の第千二百五十五首の四句と同じ語である。
 三句「着欲しきか」は、着たいことだ、の意。「か」は詠嘆で、三句切れとなる。
 四句「島の榛原」は、島の地の榛の木の林、の意。榛は衣を染める染料とされた。
 結句「時にあらねども」は、まだその時期ではないけれども、の意で、字余りの句である。初句と同じく「時」を重ね、倒置によって事情を添えている。

はりはら:榛の木の生えている原
はり:ハンノキ。樹皮や実を染料とした
出典
万葉集
前の歌
佐伯山卯の花持ちし愛しきが 手をし取りてば花は散るとも
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山守の里へ通ひし山道ぞ 茂くなりける忘れけらしも