大船を荒海に漕ぎ出でや船たけ
我が見し子らがまみはしるしも
- 歌の意味
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大船を荒海に漕ぎ出して、さあ船を進めよ。私が見たあの子の目もとは、はっきりと目に浮かぶ。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1266
詞書は前の歌に続き「時に臨む」
大船を荒海に漕ぎ出して船を進めながら、自分が見たいとしい娘の目もとが、はっきりと目に浮かぶと詠む一首である。荒海に乗り出す緊張の中でも、別れてきた娘の面影が鮮やかに思い出される心が表れている。
時に臨む歌の一首である。船出の勢いを表す上の句と、娘の面影をしのぶ下の句とが対照をなしている。古歌集に出る歌である。作者は未詳である。
初句「大船を」は、大きな船を、の意である。
二句「荒海に漕ぎ出で」は、荒れた海に漕ぎ出して、の意である。
三句「や船たけ」は、さあ船を進めよ、の意。「や」は掛け声とも間投助詞とも見られ、三句切れとなる。
四句「我が見し子らが」は、私が見たあの娘の、の意である。
結句「まみはしるしも」は、目もとがはっきりとしていることよ、の意で、娘の面影が今も鮮やかであることをいう。
あるみ:荒れた海
たく:船を漕ぎ進める、操る
まみ:目もと、目つき
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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今年行く新防人が麻衣 肩のまよひは誰れか取り見む
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子らが手を巻向山は常にあれど 過ぎにし人に行きまかめやも