子らが手を巻向山は常にあれど
過ぎにし人に行きまかめやも
- 歌の意味
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巻向山は昔と変わらずにあるけれども、亡くなってしまった人のもとに行って、その手を枕にすることなどできようか。
- 鑑賞
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巻第七 雑歌 1268
詞書は前の歌に続き「所に就きて思ひを発す」
巻向山は変わらずにそこにあるけれど、亡くなった人のもとへ行って手枕を交わすことはもうできないと嘆く一首である。変わらない山と、帰らない人とを対比して、亡き人を悼む心が深く表されている。
詞書「所に就きて思ひを発す」は、前の旋頭歌である本巻の第千二百六十七首から続いている。巻向山は大和の三輪山の北に連なる山である。次歌の左注に「右の二首は柿本朝臣人麻呂の歌集に出づ」とあり、柿本人麻呂歌集所出の歌である。人麻呂歌集の中でも助詞などを書き表した非略体の書き方で記されている。
初句「子らが手を」は、いとしい人の手を枕にする意の「まく」から、「巻向山」にかかる枕詞である。
二句「巻向山は」は、大和の巻向山は、の意である。
三句「常にあれど」は、変わらずにあるけれど、の意で、字余りの句である。
四句「過ぎにし人に」は、亡くなってしまった人に、の意である。
結句「行きまかめやも」は、行って手枕を交わすことなどできようか、の意。「めやも」は反語である。初句の枕詞の「手をまく」意が結句の「まかめ」と響き合っている。
まく:手を枕にして寝る、共寝する
すぐ:この世を去る、亡くなる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大船を荒海に漕ぎ出でや船たけ 我が見し子らがまみはしるしも
- 次の歌
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巻向の山辺響みて行く水の 水沫のごとし世の人我れは