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あぢ群のとをよる海に舟浮けて
白玉採ると人に知らゆな

歌の意味
あじ鴨の群れが波にたわむように揺れ寄る海に舟を浮かべて、白玉を採ろうとしていると人に知られるな。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1299

詞書「玉に寄す」
 あじ鴨の群れが揺れ寄る海に舟を出して白玉を採ることを、人に知られるなと詠む一首である。白玉に愛する女性を譬え、その女性を手に入れようとしていることを人に知られてはならないと、自らを戒める心を表したものと見られる。
 詞書「玉に寄す」のもとの最初の歌で、ここから五首が玉に寄せる歌である。次歌の第千三百首も白玉を人に知られずに見たいと詠み、二首は人目を忍ぶ趣向を共有している。左注により柿本人麻呂歌集所出の歌である。

 初句「あぢ群の」は、あじ鴨の群れの、の意である。
 二句「とをよる海に」は、たわむように揺れ寄る海に、の意で、群れが波に揺られるさまをいう。
 三句「舟浮けて」は、舟を浮かべて、の意である。
 四句「白玉採ると」は、白玉を採ろうとして、の意。白玉は愛する女性を譬えている。
 結句「人に知らゆな」は、人に知られるな、の意。「ゆ」は受身、「な」は禁止で、次歌の「人に知らえず」と対応する。

あぢ:アジガモ。冬に群れをなす小形の鴨
とをよる:しなうように揺れ寄る
しらたま:白い玉、真珠
出典
万葉集
前の歌
かにかくに人は言ふとも織り継がむ 我が機物の白麻衣
次の歌
をちこちの磯の中なる白玉を 人に知らえず見むよしもがも