をちこちの磯の中なる白玉を
人に知らえず見むよしもがも
- 歌の意味
-
あちこちの磯の中にある白玉を、人に知られずに見る手立てがあればよいのに。
- 鑑賞
-
巻第七 譬喩歌 1300
詞書は前の歌に続き「玉に寄す」
あちこちの磯の中にある白玉を、人に知られずに見る手立てがほしいと詠む一首である。白玉に人目の多い中にいる女性を譬え、人に知られずにその女性に逢いたいという願いを表したものと見られる。
玉に寄せる一連の二首目で、前歌の「人に知らゆな」を受けて「人に知らえず」と詠み、前歌と対をなしている。左注により柿本人麻呂歌集所出の歌である。
初句「をちこちの」は、あちこちの、の意である。
二句「磯の中なる」は、磯の中にある、の意で、人目の多い中にいることを思わせる。
三句「白玉を」は、白玉を、の意で、前歌に続いて女性を譬えている。
四句「人に知らえず」は、人に知られずに、の意。前歌の結句「人に知らゆな」と対応する。
結句「見むよしもがも」は、見る手立てがあればよいのに、の意。「もがも」は願望の終助詞である。
をちこち:あちらこちら
よし:手立て、方法
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
あぢ群のとをよる海に舟浮けて 白玉採ると人に知らゆな
- 次の歌
-
海神の手に巻き持てる玉故に 磯の浦廻に潜きするかも