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海神の持てる白玉見まく欲り
千たびぞ告りし潜きする海人

歌の意味
海の神が持っている白玉を見たいと思って、千度も祈りの言葉を口にしたのだ、潜って漁をする海人は。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1302

詞書は前の歌に続き「玉に寄す」
 海の神が持つ白玉を見たいと願って、潜って漁をする海人が千度も祈りの言葉を口にしたと詠む一首である。海神に娘の親を、白玉に娘を譬え、潜きする海人に求婚する男の姿を重ねて、娘に逢わせてほしいと親に何度も願い出たことを表したものと見られる。
 玉に寄せる一連の四首目で、次歌の第千三百三首と一組をなし、次歌はこの歌を受けて、海人が告げても海神の心が得られないと続けている。三句以下「見まく欲り千たびぞ告りし潜きする海人」は、本巻の第千三百十八首と同じである。左注により柿本人麻呂歌集所出の歌である。

 初句「海神の」は、海の神の、の意で、前歌の初句と同じ語である。
 二句「持てる白玉」は、持っている白玉、の意で、親が大事にしている娘を譬えている。
 三句「見まく欲り」は、見たいと思って、の意。「見まく」は「見む」のク語法である。本巻の第千三百十八首と同じ句である。
 四句「千たびぞ告りし」は、千度も口に出して祈った、の意。係助詞「ぞ」を受けて連体形「し」で結び、四句切れとなる。第千三百十八首と同じ句である。
 結句「潜きする海人」は、潜って漁をする海人、の意で、倒置によって主語を示し、体言止めで結ぶ。次歌の初句、二句に受け継がれ、第千三百十八首と同じ結句である。

のる:神に祈る言葉などを口に出して言う
あま:海で漁をする人
出典
万葉集
前の歌
海神の手に巻き持てる玉故に 磯の浦廻に潜きするかも
次の歌
潜きする海人は告れども海神の 心し得ねば見ゆといはなくに