見れど飽かぬ人国山の木の葉をし
我が心からなつかしみ思ふ
- 歌の意味
-
いくら見ても見飽きない人国山の木の葉を、私は自分の心から慕わしく思っている。
- 鑑賞
-
巻第七 譬喩歌 1305
詞書は前の歌に続き「木に寄す」
見飽きることのない人国山の木の葉を、自分の心から慕わしく思うと詠む一首である。「人国山」の名に他人の国の意を響かせ、その木の葉に他の男のものである女性を譬えて、それでも心から慕わしく思う気持ちを表したものと見られる。
木に寄せる二首目で、前歌の第千三百四首と同じく「木の葉」に相手を譬えている。人国山は紀伊の山とする説がある。左注により柿本人麻呂歌集所出の歌である。
初句「見れど飽かぬ」は、いくら見ても見飽きない、の意で、字余りの句である。
二句「人国山の」は、山の名で、他人の国の意を響かせている。
三句「木の葉をし」は、木の葉を、の意。「し」は強意で、前歌の結句「木の葉」と同じ語である。
四句「我が心から」は、自分の心から、の意である。
結句「なつかしみ思ふ」は、慕わしく思う、の意である。
ひとくにやま:山の名。他人の国の意を響かせる
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
天雲のたなびく山の隠りたる 我が下心木の葉知るらむ
- 次の歌
-
この山の黄葉が下の花を我れ はつはつに見てなほ恋ひにけり