おほろかに我れし思はば下に着て
なれにし衣を取りて着めやも
- 歌の意味
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いいかげんに私が思っているのなら、下に着て慣れ親しんだ衣を、取って上に着たりするだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1312
詞書は前の歌に続き「衣に寄す」
いいかげんな気持ちなら、下に着て慣れ親しんだ衣を取り出して上に着たりはしないと詠む一首である。下に着てなじんだ衣に長くひそかに通じてきた女性を譬え、その女性を表立って妻として迎えるのは、心から思っているからだと訴えたものと見られる。
衣に寄せる一連の二首目である。「下に着て」は次歌の第千三百十三首と同じ句で、次歌では下に着た衣を上に着たときの噂を案じており、二首は対照をなしている。作者は未詳である。
初句「おほろかに」は、いいかげんに、の意である。
二句「我れし思はば」は、私が思っているのなら、の意で、「し」は強意である。
三句「下に着て」は、下着として着て、の意で、ひそかな仲を表す。次歌の第千三百十三首と同じ句である。
四句「なれにし衣を」は、着慣れてなじんだ衣を、の意である。
結句「取りて着めやも」は、取って着るだろうか、の意。「めやも」は反語で、決していいかげんな思いではないことを表している。
なる:着慣れてなじむ
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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橡の衣は人皆事なしと 言ひし時より着欲しく思ほゆ
- 次の歌
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紅の深染めの衣下に着て 上に取り着ば言なさむかも