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橘の島にし居れば川遠み
さらさず縫ひし我が下衣

歌の意味
橘の島に住んでいるので、川が遠くて、布を晒さずに縫った私の下着であることよ。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1315

詞書は前の歌に続き「衣に寄す」
 橘の島に住んでいて川が遠いので、布を晒さないままで縫った自分の下着だと詠む一首である。晒さずに縫った下衣に、十分な手順を踏まないまま結ばれた相手を譬えたものとする説がある。
 衣に寄せる一連の五首目で、「衣に寄す」の最後の歌である。「下衣」は、前の二首の「下に着て」と同じく、人目に隠れた仲を思わせる。橘の島は明日香の橘の地とされる。作者は未詳である。

 初句「橘の」は、地名の橘の、の意である。
 二句「島にし居れば」は、島に住んでいるので、の意で、「し」は強意である。
 三句「川遠み」は、川が遠いので、の意。「み」は原因や理由を表す。
 四句「さらさず縫ひし」は、布を晒さないで縫った、の意である。
 結句「我が下衣」は、私の下着、の意で、体言止めで結ぶ。前の二首の「下に着て」と対応する。

さらす:布を水で洗い日に当てて白くする
したごろも:下に着る衣、下着
出典
万葉集
前の歌
橡の解き洗ひ衣のあやしくも ことに着欲しきこの夕かも
次の歌
河内女の手染めの糸を繰り返し 片糸にあれど絶えむと思へや