河内女の手染めの糸を繰り返し
片糸にあれど絶えむと思へや
- 歌の意味
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河内の女が手で染めた糸を繰り返し繰るように、繰り返し思う。片糸ではあるけれど、切れようなどと思うだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1316
詞書「糸に寄す」
河内の女が手染めした糸に寄せて、片糸のように自分ひとりの思いではあるが、二人の仲が絶えるなどとは思わないと詠む一首である。糸を恋の思いに譬え、片思いであっても思い続けようとする強い心が表されている。
詞書「糸に寄す」のもとの一首のみの歌で、前の寄衣の歌群に続いて、衣と縁の深い糸を題材としている。作者は未詳である。
初句「河内女の」は、河内の国の女の、の意である。河内は染織の盛んな地とされる。
二句「手染めの糸を」は、手で染めた糸を、の意である。初句からここまでが、糸を繰る意から三句の「繰り返し」を導く序詞となる。
三句「繰り返し」は、糸を繰り返し繰る意と、繰り返し思う意とを重ねている。
四句「片糸にあれど」は、片糸ではあるけれど、の意。片糸は撚り合わせる前の一本の糸で、片思いを譬える。
結句「絶えむと思へや」は、切れようと思うだろうか、思いはしない、の意。「思へや」は反語で、糸が絶える意に、仲が絶える意を重ねている。
かふちめ:河内の国の女
かたいと:撚り合わせる前の一本の糸。片思いの譬え
くりかへす:糸を繰り返し繰る。何度も思い返す
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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橘の島にし居れば川遠み さらさず縫ひし我が下衣
- 次の歌
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海の底沈く白玉風吹きて 海は荒るとも取らずはやまじ