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底清み沈ける玉を見まく欲り
千たびぞ告りし潜きする海人

歌の意味
水底が清らかなので沈んでいるのが見える玉を見たいと思って、千度も頼んだことだ、潜って漁をする海人に。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1318

詞書は前の歌に続き「玉に寄す」
 澄んだ水底に沈む玉を見たいと、潜って漁をする海人に千度も頼んだと詠む一首である。玉を恋しい女性に、海人を二人の仲立ちをする人に譬え、逢いたい一心で何度も取りなしを頼む心が表されている。
 玉に寄せる歌の二首目である。四句結句の「千たびぞ告りし潜きする海人」は、人麻呂歌集の寄玉の歌、本巻の第千三百二首の四句結句と全く同じで、三句「見まく欲り」も共通する。その歌の「海神の持てる白玉」を「底清み沈ける玉」に替えた歌である。作者は未詳である。

 初句「底清み」は、水底が清らかなので、の意。「み」は原因や理由を表す。
 二句「沈ける玉を」は、沈んでいる玉を、の意で、前歌の二句「沈く白玉」と対応する。
 三句「見まく欲り」は、見たいと思って、の意。本巻の第千三百二首の三句と同じである。
 四句「千たびぞ告りし」は、千度も頼んだことだ、の意。係助詞「ぞ」を受けて連体形「し」で結び、四句切れとなる。
 結句「潜きする海人」は、潜って漁をする海人に、の意で、倒置によって頼んだ相手を示す。第千三百二首と同じ結句である。

のる:口に出して言う、告げる
かづき:水に潜って漁をすること
出典
万葉集
前の歌
海の底沈く白玉風吹きて 海は荒るとも取らずはやまじ
次の歌
大海の水底照らし沈く玉 斎ひて採らむ風な吹きそね