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大海の水底照らし沈く玉
斎ひて採らむ風な吹きそね

歌の意味
大海の水底を照らして沈んでいる玉を、身を清め慎んで採ろう。風よ、吹かないでおくれ。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1319

詞書は前の歌に続き「玉に寄す」
 大海の水底を照らすほどに輝いて沈む玉を、身を慎んで採ろうとし、風に吹かないでほしいと願う一首である。玉を光り輝くほどすぐれた女性に、風を恋の妨げに譬え、大切な人を慎重に迎えようとする心が表されている。
 玉に寄せる歌の三首目である。第千三百十七首では風が吹いても取ろうとしたのに対し、この歌では風が吹かないことを願っており、同じ趣向を別の方向から詠んでいる。風に吹かないよう願う形は、本巻の第千三百二十七首にも見える。作者は未詳である。

 初句「大海の」は、大海の、の意である。
 二句「水底照らし」は、水底を照らして、の意で、玉の輝きの強さを表す。
 三句「沈く玉」は、沈んでいる玉、の意。第千三百十七首の二句「沈く白玉」と同じ語を用いている。
 四句「斎ひて採らむ」は、身を清め慎んで採ろう、の意で、四句切れとなる。
 結句「風な吹きそね」は、「な〜そね」の禁止と願望で、風よ吹かないでおくれ、の意。第千三百十七首の三句「風吹きて」と対照をなしている。

いはふ:身を清め慎む
みなそこ:水の底
出典
万葉集
前の歌
底清み沈ける玉を見まく欲り 千たびぞ告りし潜きする海人
次の歌
水底に沈く白玉誰が故に 心尽して我が思はなくに