海の底沖つ白玉よしをなみ
常かくのみや恋ひわたりなむ
- 歌の意味
-
海の底、沖の白玉を手に入れる手立てがないので、いつもこのようにばかり恋い続けてゆくのだろうか。
- 鑑賞
-
巻第七 譬喩歌 1323
詞書は前の歌に続き「玉に寄す」
沖の白玉を手に入れる手立てがないので、いつまでもこうして恋い続けるのだろうかと嘆く一首である。白玉を手の届かない女性に譬え、逢うすべもなく思い続けるほかない嘆きが表されている。
玉に寄せる歌の七首目である。初句「海の底」は第千三百十七首の初句と同じで、第千三百二十七首の三句にも見える。四句「常かくのみや」は第千三百二十一首の二句「常かくのみか」と似た句である。作者は未詳である。
初句「海の底」は、「沖」にかかる枕詞である。第千三百十七首の初句と同じである。
二句「沖つ白玉」は、沖の白玉、の意で、手の届かない女性を譬える。
三句「よしをなみ」は、手立てがないので、の意。「み」は原因や理由を表す。
四句「常かくのみや」は、いつもこのようにばかり、の意。係助詞「や」は結句の連体形「なむ」と呼応する。第千三百二十一首の二句と似た句である。
結句「恋ひわたりなむ」は、恋い続けてゆくのだろうか、の意。「や〜なむ」の係り結びで疑問を表す。
よし:手立て、方法
こひわたる:恋い続けて日を送る
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
伊勢の海の海人の島津が鰒玉 採りて後もか恋の繁けむ
- 次の歌
-
葦の根のねもころ思ひて結びてし 玉の緒といはば人解かめやも