白玉を手には巻かずに箱のみに
置けりし人ぞ玉嘆かする
- 歌の意味
-
白玉を手には巻かないで、箱にばかりしまっておいた人こそが、玉を嘆かせるのだ。
- 鑑賞
-
巻第七 譬喩歌 1325
詞書は前の歌に続き「玉に寄す」
白玉を手に巻かず、箱にしまっておくばかりの人こそが玉を嘆かせると詠む一首である。白玉を女性に譬え、自分のものとしながら大切にせず顧みない男が、女性を嘆かせているのだとなじる心が表されている。
玉に寄せる歌の九首目で、玉を嘆く側に置いた点が他の歌と異なる。玉を手に巻くことは、次歌や第千三百二十七首にも詠まれている。作者は未詳である。
初句「白玉を」は、白玉を、の意で、女性を譬える。
二句「手には巻かずに」は、手には巻かないで、の意。手に巻くことは、妻として身近に置き慈しむことを表す。
三句「箱のみに」は、箱にばかり、の意である。
四句「置けりし人ぞ」は、しまっておいた人こそ、の意。係助詞「ぞ」は結句の連体形「する」と呼応する。
結句「玉嘆かする」は、玉を嘆かせるのだ、の意で、玉を擬人化している。
なげかす:嘆かせる
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
葦の根のねもころ思ひて結びてし 玉の緒といはば人解かめやも
- 次の歌
-
照左豆が手に巻き古す玉もがも その緒は替へて我が玉にせむ