陸奥の安達太良真弓弦はけて
引かばか人の我を言なさむ
- 歌の意味
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陸奥の安達太良の真弓に弦をかけて引くように、あの人の気を引いたなら、人が私のことを噂し立てるだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1329
詞書「弓に寄す」
陸奥の安達太良の真弓に弦をかけて引くように、あの人の心を引いたなら、人が自分のことを噂するだろうかと詠む一首である。弓を引くことを女性を誘うことに譬え、思いを行動に移したいが人の噂が気にかかるという、ためらいの心が表されている。
詞書「弓に寄す」のもとの最初の歌で、次歌と二首が弓に寄せる歌である。安達太良は陸奥の山の名で、そこで産する檀の弓が名高かった。人の噂を気にする結句は、寄衣の歌、本巻の第千三百十三首の結句「言なさむかも」と同じ趣である。作者は未詳である。
初句「陸奥の」は、陸奥の国の、の意である。
二句「安達太良真弓」は、安達太良山の檀で作った立派な弓、の意である。
三句「弦はけて」は、弦をかけて、の意。初句からここまでが、四句の「引く」を導く序詞となる。
四句「引かばか人の」は、弓を引く意に、女性の気を引く意を重ねる。係助詞「か」は結句の連体形「なさむ」と呼応する。
結句「我を言なさむ」は、私のことを噂し立てるだろうか、の意。第千三百十三首の結句「言なさむかも」と同じ語を用いている。
まゆみ:檀の木で作った弓。また弓の美称
はく:弓に弦をかける
ことなす:言い立てる、噂にする
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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膝に伏す玉の小琴の事なくは いたくここだく我れ恋ひめやも
- 次の歌
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南淵の細川山に立つ檀 弓束巻くまで人に知らえじ