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南淵の細川山に立つ檀
弓束巻くまで人に知らえじ

歌の意味
南淵の細川山に立っている檀の木よ、弓束を巻いて弓に仕上げるまでは、人に知られまい。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1330

詞書は前の歌に続き「弓に寄す」
 南淵の細川山に立つ檀の木を、弓束を巻いて弓に仕上げるまでは人に知られまいと詠む一首である。檀を思いを寄せる女性に、弓束を巻いて弓に仕上げることを自分のものとすることに譬え、思いを遂げるまでは恋を人に隠しておこうとする心が表されている。
 弓に寄せる歌の二首目である。前歌が弓を引けば人が噂するかと恐れるのに対し、この歌は弓に仕上げるまで人に知られまいと決意しており、二首が対応している。人に知られまいとする結句は、人麻呂歌集の寄玉の歌、本巻の第千二百九十九首の結句「人に知らゆな」、第千三百首の四句「人に知らえず」と通じる。南淵、細川山は大和の明日香の地名である。作者は未詳である。

 初句「南淵の」は、大和の明日香の地名である。
 二句「細川山に」は、南淵にある細川山に、の意である。
 三句「立つ檀」は、立っている檀の木、の意で、思いを寄せる女性を譬える。前歌の二句「真弓」と同じ木である。
 四句「弓束巻くまで」は、弓の握りの部分に皮などを巻いて弓に仕上げるまで、の意である。
 結句「人に知らえじ」は、人に知られまい、の意。前歌の結句が人の噂を恐れるのと対応する。

まゆみ:ニシキギ科の木、檀。弓の材とした
ゆづか:弓の握りの部分
出典
万葉集
前の歌
陸奥の安達太良真弓弦はけて 引かばか人の我を言なさむ
次の歌
岩畳畏き山と知りつつも 我れは恋ふるか並にあらなくに