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岩畳畏き山と知りつつも
我れは恋ふるか並にあらなくに

歌の意味
岩が重なって恐ろしい山だと知りながらも、私は恋い慕うことか。並の相手ではないのに。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1331

詞書「山に寄す」
 岩が重なる恐れ多い山と知りながら、なお恋い慕ってしまうと詠む一首である。山を身分の高い、近づきがたい人に譬え、並々の相手ではないとわかっていながら思いを抑えられない心が表されている。
 詞書「山に寄す」のもとの最初の歌で、ここから第千三百三十五首までの五首が山に寄せる歌となる。三句「畏き」は第千三百三十四首の三句「畏けど」と対応し、恐れ多い相手への恋という趣向を共有している。作者は未詳である。

 初句「岩畳」は、岩が幾重にも重なっていること、の意で、山の険しさを表す。
 二句「畏き山と」は、恐れ多い山だと、の意で、山は身分の高い人を譬える。
 三句「知りつつも」は、知りながらも、の意である。
 四句「我れは恋ふるか」は、私は恋い慕うことか、の意。「か」は詠嘆で、四句切れとなる。
 結句「並にあらなくに」は、並の相手ではないのに、の意。倒置によって恋のためらいの理由を示す。

いはたたみ:岩が重なり合っていること
なみ:並、普通
出典
万葉集
前の歌
南淵の細川山に立つ檀 弓束巻くまで人に知らえじ
次の歌
岩が根のこごしき山に入りそめて 山なつかしみ出でかてぬかも