岩が根のこごしき山に入りそめて
山なつかしみ出でかてぬかも
- 歌の意味
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岩の根がごつごつと険しい山に入り始めて、山に心ひかれるので、出てゆくことができないことよ。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1332
詞書は前の歌に続き「山に寄す」
岩の険しい山に入り始めたところ、山に心ひかれて出ることができなくなったと詠む一首である。山を恋しい人に、山に入ることを恋に踏み入ることに譬え、はじめは近づきがたく思えた人に、いったん心を寄せると離れられなくなった思いが表されている。
山に寄せる歌の二首目である。四句「山なつかしみ」は次歌の四句「山なつかしも」と対応し、二首がともに山に心ひかれる思いを詠んでいる。作者は未詳である。
初句「岩が根の」は、大地に根を張ったような大きな岩の、の意である。
二句「こごしき山に」は、ごつごつと険しい山に、の意で、前歌の「畏き山」と同じく近づきがたい相手を譬える。
三句「入りそめて」は、入り始めて、の意で、恋に踏み入ったことを譬える。
四句「山なつかしみ」は、山に心ひかれるので、の意。「み」は原因や理由を表す。次歌の四句「山なつかしも」と対応する。
結句「出でかてぬかも」は、出てゆくことができないことよ、の意。「かて」は可能を表し、「かも」は詠嘆である。
いはがね:大地に根を張ったような大きな岩
いりそむ:入り始める
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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岩畳畏き山と知りつつも 我れは恋ふるか並にあらなくに
- 次の歌
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佐保山をおほに見しかど今見れば 山なつかしも風吹くなゆめ