佐保山をおほに見しかど今見れば
山なつかしも風吹くなゆめ
- 歌の意味
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佐保山をなにげなく見ていたが、今見ると、山に心ひかれることだ。風よ、決して吹くな。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1333
詞書は前の歌に続き「山に寄す」
これまでなにげなく見ていた佐保山が、今見ると心ひかれると詠み、風に決して吹くなと願う一首である。佐保山を以前は気にもとめなかった女性に、風を二人の間の妨げに譬え、にわかに芽生えた恋心と、それを乱されたくない思いが表されている。
山に寄せる歌の三首目である。四句「山なつかしも」は前歌の四句「山なつかしみ」と対応する。風に吹くなと願う趣向は、寄玉の歌、本巻の第千三百十九首、第千三百二十七首と共通し、結句の「なゆめ」は第千二百五十二首の結句「標結ふなゆめ」と同じ形である。佐保山は平城京の北東の山である。作者は未詳である。
初句「佐保山を」は、平城京の北東にある佐保山を、の意で、女性を譬える。
二句「おほに見しかど」は、なにげなく見ていたが、の意である。
三句「今見れば」は、今見ると、の意で、二句の過去と対比される。
四句「山なつかしも」は、山に心ひかれることだ、の意で、四句切れとなる。前歌の四句と対応する。
結句「風吹くなゆめ」は、風よ決して吹くな、の意。「な」は禁止、「ゆめ」はそれを強める。本巻の第千二百五十二首の結句と同じ形である。
さほやま:平城京の北東にある山
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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岩が根のこごしき山に入りそめて 山なつかしみ出でかてぬかも
- 次の歌
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奥山の岩に苔生し畏けど 思ふ心をいかにかもせむ