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月草に衣色どり摺らめども
うつろふ色と言ふが苦しさ

歌の意味
月草で衣を色どって摺り染めようと思うけれど、移ろいやすい色だと人が言うのがつらいことだ。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1339

詞書は前の歌に続き「草に寄す」
 月草で衣を染めようと思うけれども、その色は移ろいやすいと人が言うのがつらいと詠む一首である。月草を心変わりしやすい恋の相手に、衣を摺り染めることを結ばれることに譬え、相手の心が移ろうことへの不安を表している。
 草に寄せる歌の一首である。月草で衣を染めることは本巻の第千二百五十五首にも詠まれ、また本巻の第千三百五十一首は同じ月草を詠みながら、色が移ろってもかまわず衣を摺ろうと決意しており、この歌のためらいと対をなしている。作者は未詳である。

 初句「月草に」は、露草で、の意。本巻の第千二百五十五首、第千三百五十一首と同じ初句である。
 二句「衣色どり」は、衣を色どって、の意である。
 三句「摺らめども」は、摺り染めようと思うけれど、の意である。
 四句「うつろふ色と」は、移ろいやすい色だと、の意。月草の染め色が褪せやすいことをいい、心変わりを暗示する。
 結句「言ふが苦しさ」は、人がそう言うのがつらいことだ、の意で、名詞「苦しさ」で結ぶ体言止めである。

つきくさ:露草。花の汁で衣を青く染めた
うつろふ:色があせる、心変わりする
出典
万葉集
前の歌
我がやどに生ふるつちはり心ゆも 思はぬ人の衣に摺らゆな
次の歌
紫の糸をぞ我が搓るあしひきの 山橘を貫かむと思ひて