近江のや八橋の小竹を矢はがずて
まことありえむや恋しきものを
- 歌の意味
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近江の八橋の篠竹を、矢に作らずに、本当にいられようか。こんなに恋しいのに。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1350
詞書は前の歌に続き「草に寄す」
近江の八橋の篠竹を矢に作らないで、本当にいられようか、こんなに恋しいのに、と詠む一首である。八橋の篠竹を恋しい女性に、矢に作ることを自分のものとすることに譬え、思いを遂げずにはいられない心を表している。
草に寄せる歌の一首である。前歌と同じく「小竹」を詠み、前歌が老いを嘆くのに対して、この歌は恋の思いを押しとどめられない心を詠んでいる。八橋は近江国の琵琶湖南岸の地である。作者は未詳である。
初句「近江のや」は、近江の、の意。「や」は語調を整える間投助詞である。
二句「八橋の小竹を」は、八橋の篠竹を、の意。前歌の結句と同じく「小竹」を詠む。
三句「矢はがずて」は、矢に作らないで、の意。篠竹に羽をつけて矢に仕立てることをいう。
四句「まことありえむや」は、本当にいられようか、の意。「や」は反語で、字余りの句である。
結句「恋しきものを」は、恋しいのに、の意で、倒置により四句の理由を示している。
はぐ:竹に羽をつけて矢に仕立てる
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かくしてやなほや老いなむみ雪降る 大荒木野の小竹にあらなくに
- 次の歌
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月草に衣は摺らむ朝露に 濡れての後はうつろひぬとも