石上布留の早稲田を秀でずとも
縄だに延へよ守りつつ居らむ
- 歌の意味
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石上の布留の早稲の田は、まだ穂が出ていなくても、せめて縄だけでも張っておけ。私は番をし続けていよう。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1353
詞書「稲に寄す」
布留の早稲田はまだ穂が出ていなくても、せめて縄だけでも張っておけ、自分が番をし続けていよう、と詠む一首である。早稲田をまだ年若い娘に、穂が出ることを一人前になることに、縄を張ることを婚約して自分のものと示すことに譬えている。娘の親が求婚者に呼びかけた歌とする見方もある。
詞書「稲に寄す」のもとの唯一の歌である。縄を張って自分のものと示す趣向は、前の草に寄せる歌の一連に見える標の趣向と通じている。作者は未詳である。
初句「石上」は、石上の地の布留の意から、「布留」にかかる枕詞である。
二句「布留の早稲田を」は、布留の早稲の田を、の意。布留は大和国山辺郡の地である。
三句「秀でずとも」は、穂が出ていなくても、の意である。
四句「縄だに延へよ」は、せめて縄だけでも張っておけ、の意。「だに」は最小限の願いを示し、四句切れとなる。縄は標縄のことで、本巻の第千三百四十二首などの標と同じ趣向である。
結句「守りつつ居らむ」は、番をし続けていよう、の意である。
わさだ:早稲を植えた田
ひづ:稲の穂が出る
はふ:縄などを長く張り渡す
もる:番をする、見張る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が心ゆたにたゆたに浮蓴 辺にも沖にも寄りかつましじ
- 次の歌
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白菅の真野の榛原心ゆも 思はぬ我れし衣に摺りつ