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真木柱作る杣人いささめに
仮廬のためと作りけめやも

歌の意味
立派な木の柱を作る杣人は、かりそめに仮小屋のためにと思って作ったことがあろうか。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1355

詞書は前の歌に続き「木に寄す」
 立派な柱を作る杣人が、かりそめの仮小屋のために作ったりしようか、そうではない、と詠む一首である。杣人が柱を作ることを自分の恋に、仮廬をかりそめの関係に譬え、自分の恋は一時の気まぐれではなく、末長く添い遂げるためのものだという心を表している。
 木に寄せる歌の一首である。前歌が思いがけず結ばれたことを詠むのに対し、この歌はその恋がかりそめのものではないと述べている。作者は未詳である。

 初句「真木柱」は、檜や杉などの良材で作った立派な柱をいう。
 二句「作る杣人」は、柱を作る杣人は、の意。杣人は山で木を伐り出す人である。
 三句「いささめに」は、かりそめに、ついちょっと、の意である。
 四句「仮廬のためと」は、仮小屋のためにと、の意である。
 結句「作りけめやも」は、作ったことがあろうか、いやそうではない、の意。「めやも」は反語である。

まきばしら:檜や杉などの良材で作った柱
そまびと:山で木を伐り出す人、きこり
かりいほ:仮に作った粗末な小屋
出典
万葉集
前の歌
白菅の真野の榛原心ゆも 思はぬ我れし衣に摺りつ
次の歌
向つ峰に立てる桃の木ならむやと 人ぞささやく汝が心ゆめ