- 歌の意味
- 天の雲に近く光って鳴る雷のように、逢えば恐れ多く、逢わなければ悲しいことだ。
- 鑑賞
-
巻第七 譬喩歌 1369
詞書「雷に寄す」
天の雲の近くで光って鳴る雷のように、相手に逢えば恐れ多く、逢わなければ悲しいと詠む一首である。身分の高い相手を雷に譬え、近づくのも畏れ多いが、逢わずにいるのもつらいという心の揺れを表している。
詞書「雷に寄す」のもとの歌で、この題の歌はこの一首のみである。四句と結句を「見れば」「見ねば」の対句とし、相反する思いを鮮やかに示している。作者は未詳である。
初句「天雲に」は、天の雲に、の意である。
二句「近く光りて」は、近くで光って、の意である。
三句「鳴る神の」は、雷のように、の意。初句からここまでが四句の「畏し」を導く序となっている。
四句「見れば畏し」は、逢えば恐れ多い、の意。結句と対句をなす。
結句「見ねば悲しも」は、逢わなければ悲しいことだ、の意。「も」は詠嘆である。
あまくも:天の雲
なるかみ:雷
- 出典
- 万葉集
- 前の歌
- 岩倉の小野ゆ秋津に立ちわたる 雲にしもあれや時をし待たむ
- 次の歌
- はなはだも降らぬ雨故にはたづみ いたくな行きそ人の知るべく