はなはだも降らぬ雨故にはたづみ
いたくな行きそ人の知るべく
- 歌の意味
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ひどく降ったわけでもない雨なのに、にわたずみよ、ひどく流れて行くな。人に知られてしまうから。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1370
詞書「雨に寄す」
ひどく降ったわけでもない雨なのに、にわたずみよ、人に知られるほどひどく流れるなと詠む一首である。さほど深い仲でもないのに、噂ばかりが大きく広まって人に知られることを、にわたずみの流れに譬えて戒めている。
詞書「雨に寄す」のもとの最初の歌である。次歌も雨を詠み、二首で「雨に寄す」の歌をなしている。作者は未詳である。
初句「はなはだも」は、ひどく、の意である。
二句「降らぬ雨故」は、降らない雨なのに、の意。「故」は逆接の意を表す。
三句「にはたづみ」は、雨が地上にたまって流れる水で、それに呼びかけている。
四句「いたくな行きそ」は、ひどく流れて行くな、の意。「な〜そ」の禁止で、四句切れとなる。
結句「人の知るべく」は、人が知るほどに、の意。倒置によって四句の禁止の理由を示している。
にはたづみ:雨が降って地上にたまり流れる水
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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天雲に近く光りて鳴る神の 見れば畏し見ねば悲しも
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ひさかたの雨には着ぬをあやしくも 我が衣手は干る時なきか