木綿懸けて斎ふこの社越えぬべく
思ほゆるかも恋の繁きに
- 歌の意味
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木綿を懸けて祭っているこの神の社さえも越えてしまいそうに思われることだ。恋しさの激しさに。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1378
詞書は前の歌に続き「神に寄す」
木綿を懸けて祭る神聖な社でさえ、恋しさの激しさのあまり越えてしまいそうに思われる、と詠む一首である。越えてはならない神の社を、近づくことを禁じられた恋に譬え、禁を犯してでも逢いたいという激しい恋心を表したものとされる。
前歌と初句「木綿懸けて」を共有する一組の歌である。前歌が人目をはばかって身を慎む心を詠むのに対し、この歌は禁を越えかねないほどの恋心を詠んでおり、抑える心とあふれる心とが対をなしている。作者は未詳である。
初句「木綿懸けて」は、木綿を懸けて、の意で、前歌と同じ初句である。
二句「斎ふこの社」は、神を祭り清めているこの社、の意である。
三句「越えぬべく」は、越えてしまいそうに、の意である。
四句「思ほゆるかも」は、思われることよ、の意。「かも」は詠嘆で、四句切れとなる。
結句「恋の繁きに」は、恋しさの激しさに、の意で、倒置によって理由を後に置いている。
いはふ:神を祭り、身を清め慎む
もり:神の降臨する所、神の社
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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木綿懸けて祭る三諸の神さびて 斎むにはあらず人目多みこそ
- 次の歌
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絶えず行く明日香の川の淀めらば 故しもあるごと人の見まくに