嘆きせば人知りぬべみ山川の
たぎつ心を塞かへてあるかも
- 歌の意味
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嘆いたら人がきっと知ってしまうので、山川のように激しく沸き立つ心を、せき止めているのだなあ。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1383
詞書は前の歌に続き「河に寄す」
嘆けば人に知られてしまうので、山の川のように激しく沸き立つ心をせき止めている、と詠む一首である。激しく流れる山川を抑えがたい恋心に譬え、人に知られまいとしてじっと堪える苦しさを表している。
河に寄す歌の一首で、人に知られることを恐れる心が詠まれている。前歌の思いを遂げようとする強い心に続き、その激しい心を人目のために抑える姿を詠んでいる。作者は未詳である。
初句「嘆きせば」は、嘆いたならば、の意である。
二句「人知りぬべみ」は、人がきっと知ってしまうので、の意。「べみ」は「べし」のミ語法である。
三句「山川の」は、山の中を流れる川のように、の意で、四句の「たぎつ」を導いている。
四句「たぎつ心を」は、激しく沸き立つ心を、の意である。
結句「塞かへてあるかも」は、せき止めているのだなあ、の意。川の縁で「塞く」を用い、「かも」で詠嘆している。
たぎつ:水が激しく沸き立って流れる
せく:水の流れをせき止める
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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泊瀬川流るる水沫の絶えばこそ 我が思ふ心遂げじと思はめ
- 次の歌
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水隠りに息づきあまり早川の 瀬には立つとも人に言はめやも