伏越ゆ行かましものをまもらふに
うち濡らさえぬ波数まずして
- 歌の意味
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伏越を通って行けばよかったものを、様子をうかがっているうちに、波に濡らされてしまった。波の数をよく数えもしないで。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1387
詞書は前の歌に続き「海に寄す」
伏越を通って行けばよかったのに、様子をうかがっているうちに、波の数を数えもしないで濡らされてしまった、と詠む一首である。波に濡らされることを人に知られて噂を立てられることに譬え、機会をうかがううちにしくじった悔しさを詠んだものと見られる。
海に寄す歌の一首で、前歌の思い切って漕ぎ出す心に対し、ためらううちに失敗した悔いが詠まれている。伏越は地名とも、崖の上を越えて行く道とも言われる。作者は未詳である。
初句「伏越ゆ」は、伏越を通って、の意である。
二句「行かましものを」は、行けばよかったのに、の意。反実仮想で、二句切れとなる。
三句「まもらふに」は、様子をうかがっているうちに、の意である。
四句「うち濡らさえぬ」は、濡らされてしまった、の意で、四句切れとなる。
結句「波数まずして」は、波の数を数えもしないで、の意で、倒置によって失敗の原因を示している。
まもらふ:じっと見守る、様子をうかがう
よむ:数を数える
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大船に真楫しじ貫き漕ぎ出なば 沖は深けむ潮は干ぬとも
- 次の歌
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石そそき岸の浦廻に寄する波 辺に来寄らばか言の繁けむ