石そそき岸の浦廻に寄する波
辺に来寄らばか言の繁けむ
- 歌の意味
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岩に水をそそいで岸の浦のめぐりに寄せる波のように、そばに寄って来たならば、噂が激しくなるだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1388
詞書は前の歌に続き「海に寄す」
岩に水をそそいで岸辺に寄せる波のように、あの人がそばに寄って来たならば、噂が激しくなるだろうか、と詠む一首である。岸に寄せる波を身近に寄って来る恋人に譬え、近づけば人の噂が立つことを恐れる心を表している。
海に寄す歌の一首で、前歌と同じく人に知られることを恐れる心が詠まれている。「〜ばか」と仮定して噂を恐れる形は、本巻の第千三百七十六首の「さ丹付かばそこもか人の我を言なさむ」とも通じる。作者は未詳である。
初句「石そそき」は、岩に水をそそいで、の意である。
二句「岸の浦廻に」は、岸の入り江のあたりに、の意である。
三句「寄する波」は、打ち寄せる波、の意。初句からここまでが四句の「来寄る」を導く序詞となっている。
四句「辺に来寄らばか」は、そばに寄って来たならば、の意。係助詞「か」は結句の連体形「繁けむ」と呼応する。
結句「言の繁けむ」は、噂が激しくなるだろうか、の意である。
そそく:水がそそぎかかる
うらみ:入り江の湾曲したあたり
こと:人の噂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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伏越ゆ行かましものをまもらふに うち濡らさえぬ波数まずして
- 次の歌
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磯の浦に来寄る白波返りつつ 過ぎかてなくは誰れにたゆたへ