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磯の浦に来寄る白波返りつつ
過ぎかてなくは誰れにたゆたへ

歌の意味
磯の浦に寄せて来る白波が引き返しては寄せて、通り過ぎかねているのは、誰のためにためらっているのか。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1389

詞書は前の歌に続き「海に寄す」
 磯の浦に寄せる白波が引き返しては寄せて過ぎかねているのは、誰のためにためらっているのか、と詠む一首である。寄せては返す白波を、女性の家のあたりを行きつ戻りつして立ち去りかねる男に譬え、誰のためにためらっているのかと問いかけたものとされる。
 海に寄す歌の一首で、前歌の岸に寄せる波に続き、寄せては返す白波が詠まれている。二句「来寄る白波」は本巻の第千三百九十一首と同じ句である。作者は未詳である。

 初句「磯の浦に」は、磯の入り江に、の意で、字余りの句である。
 二句「来寄る白波」は、寄せて来る白波、の意。本巻の第千三百九十一首と同じ句である。
 三句「返りつつ」は、引き返しては寄せて、の意で、行きつ戻りつするさまを譬えている。
 四句「過ぎかてなくは」は、通り過ぎかねているのは、の意である。
 結句「誰れにたゆたへ」は、誰のためにためらっているのか、の意。已然形で言いさし、問いかけている。

たゆたふ:ためらう、心が定まらない
出典
万葉集
前の歌
石そそき岸の浦廻に寄する波 辺に来寄らばか言の繁けむ
次の歌
近江の海波畏みと風まもり 年はや経なむ漕ぐとはなしに