近江の海波畏みと風まもり
年はや経なむ漕ぐとはなしに
- 歌の意味
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近江の海の波が恐ろしいからと、風の具合をうかがって、年を過ごしてしまうのだろうか。漕ぎ出すこともなくて。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1390
詞書は前の歌に続き「海に寄す」
近江の海の波を恐れて風の具合をうかがううちに、漕ぎ出すこともなく年を過ごしてしまうのだろうか、と詠む一首である。波を人目や噂に、漕ぎ出すことを恋を遂げることに譬え、人目を恐れて機会を待つうちに、思いを果たせないまま年月が過ぎることを嘆いたものとされる。
海に寄す歌の一首である。三句と四句「風まもり年はや経なむ」は、船に寄す歌の本巻の第千四百首と同じで、第千四百首では結句が「逢ふとはなしに」となり、譬えるところがはっきり示されている。作者は未詳である。
初句「近江の海」は、琵琶湖をいい、字余りの句である。
二句「波畏みと」は、波が恐ろしいからと、の意で、人目や噂をはばかることを譬えている。
三句「風まもり」は、風の具合をうかがって、の意。本巻の第千四百首と同じ句である。
四句「年はや経なむ」は、年を過ごしてしまうのだろうか、の意で、四句切れとなる。これも第千四百首と同じ句である。
結句「漕ぐとはなしに」は、漕ぎ出すこともなくて、の意。第千四百首では「逢ふとはなしに」となっている。
あふみのうみ:琵琶湖
かぜまもり:風の具合をうかがい、船出の機会を待つこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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磯の浦に来寄る白波返りつつ 過ぎかてなくは誰れにたゆたへ
- 次の歌
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朝なぎに来寄る白波見まく欲り 我れはすれども風こそ寄せね