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朝なぎに来寄る白波見まく欲り
我れはすれども風こそ寄せね

歌の意味
朝なぎに寄せて来る白波を見たいと私は思うけれど、風が寄せてくれないことよ。
鑑賞
巻第七 譬喩歌 1391

詞書は前の歌に続き「海に寄す」
 朝なぎに寄せて来る白波を見たいと思うけれど、風が寄せてくれない、と詠む一首である。白波を恋しい人に、それを寄せる風を二人の仲を取り持つきっかけに譬え、逢いたいのに逢う機会が得られないもどかしさを表したものとされる。
 海に寄す歌の最後の一首である。二句「来寄る白波」は本巻の第千三百八十九首と同じで、前歌が風をうかがう心を詠むのに続き、この歌では風が寄せてくれないことを嘆いている。作者は未詳である。

 初句「朝なぎに」は、朝の風がやんで海の穏やかなときに、の意である。
 二句「来寄る白波」は、寄せて来る白波、の意。本巻の第千三百八十九首と同じ句である。
 三句「見まく欲り」は、見たいと思って、の意。「見まく」は「見む」のク語法である。
 四句「我れはすれども」は、私は思うけれど、の意である。
 結句「風こそ寄せね」は、風が寄せてくれないことよ、の意。係助詞「こそ」を受けて已然形「ね」で結び、逆接の余意を含む。

あさなぎ:朝、海上の風がやんで波が穏やかになること
出典
万葉集
前の歌
近江の海波畏みと風まもり 年はや経なむ漕ぐとはなしに
次の歌
紫の名高の浦の真砂土 袖のみ触れて寝ずかなりなむ