潮満てば入りぬる磯の草なれや
見らく少く恋ふらくの多き
- 歌の意味
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潮が満ちると水に隠れてしまう磯の草なのだろうか。逢うことは少なく、恋しく思うことばかりが多いことよ。
- 鑑賞
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巻第七 譬喩歌 1394
詞書「藻に寄す」
潮が満ちると水に隠れてしまう磯の草なのだろうか、逢うことは少なく恋しく思うことばかりが多い、と詠む一首である。潮が満ちると見えなくなる磯の藻を、なかなか逢えない恋人に譬え、逢う機会の少なさと募る恋しさを嘆いている。
詞書「藻に寄す」のもとの最初の歌で、ここから四首が藻に寄せた歌である。「見らく」と「恋ふらく」、「少く」と「多き」を対にした表現に特色がある。作者は未詳である。
初句「潮満てば」は、潮が満ちると、の意である。
二句「入りぬる磯の」は、水に隠れてしまう磯の、の意である。
三句「草なれや」は、草なのだろうか、の意。已然形に係助詞「や」が付いて疑問を表し、三句切れとなる。
四句「見らく少く」は、逢うことは少なく、の意。「見らく」は「見る」のク語法である。
結句「恋ふらくの多き」は、恋しく思うことが多いことよ、の意で、字余りの句である。四句の「見らく少く」と対をなし、連体形で詠嘆を込めて結んでいる。
みらく:見ること、逢うこと
こふらく:恋しく思うこと
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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豊国の企救の浜辺の真砂土 真直にしあらば何か嘆かむ
- 次の歌
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沖つ波寄する荒磯のなのりそは 心のうちに障みとなれり