秋津野を人の懸くれば朝撒きし
君が思ほえて嘆きはやまず
- 歌の意味
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秋津野のことを人が口にするので、朝に撒いたあなたのことが思われて、嘆きはやまない。
- 鑑賞
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巻第七 挽歌 1405
詞書なし(挽歌の部)
人が秋津野のことを口にするたびに、朝に撒いたあなたのことが思い出されて、嘆きがやまないと詠む一首である。「朝撒きし」は、火葬した亡き人の骨を秋津野に撒いたことをいうと解されており、その地の名を聞くだけで悲しみがよみがえる心が表れている。
挽歌の部の二首目である。秋津野は吉野の宮滝の辺りの野とされる。次歌も秋津野を詠んでおり、秋津野にかかわる挽歌が二首並んでいる。作者は未詳である。
初句「秋津野を」は、吉野の秋津野を、の意である。次歌の初句「秋津野に」と対応する。
二句「人の懸くれば」は、人が言葉に出して言うので、の意である。
三句「朝撒きし」は、朝に撒いた、の意で、火葬した骨を撒いたことをいうと解されている。
四句「君が思ほえて」は、あなたのことが思われて、の意で、字余りの句である。
結句「嘆きはやまず」は、嘆きはやむことがない、の意である。
かく:言葉に出して言う、口にする
まく:撒く、散らす
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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鏡なす我が見し君を阿婆の野の 花橘の玉に拾ひつ
- 次の歌
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秋津野に朝居る雲の失せゆけば 昨日も今日もなき人思ほゆ