たはことかおよづれことかこもりくの
泊瀬の山に廬りせりといふ
- 歌の意味
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でたらめの言葉か、人を惑わす言葉か。あの人が泊瀬の山に仮の庵を結んでいるというのは。
- 鑑賞
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巻第七 挽歌 1408
詞書なし(挽歌の部)
あの人が泊瀬の山に庵を結んでいるというのは、でたらめか、人を惑わす言葉なのかと詠む一首である。泊瀬の山に庵を結ぶとは葬られたことをいい、人の死を知らされても信じられない思いを表している。
挽歌の部の五首目である。前歌に続いて「こもりくの泊瀬の山に」と詠み、前歌が泊瀬の雲を亡き人と見るのに対し、この歌は亡き人の知らせを信じられない心を詠んでいる。作者は未詳である。
初句「たはことか」は、でたらめの言葉か、の意である。
二句「およづれことか」は、人を惑わす言葉か、の意で、二句切れとなる。初句と重ねて強く疑っている。
三句「こもりくの」は、「泊瀬」にかかる枕詞で、前歌の初句と同じである。
四句「泊瀬の山に」は、大和の泊瀬の山に、の意で、前歌の二句と同じ句である。
結句「廬りせりといふ」は、仮の庵を結んでいるという、の意で、葬られたことを婉曲にいう。字余りの句である。
たはこと:でたらめの言葉
およづれこと:人を惑わす偽りの言葉
いほる:仮の小屋を作って籠る
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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隠口の泊瀬の山に霞立ち たなびく雲は妹にかもあらむ
- 次の歌
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秋山の黄葉あはれとうらぶれて 入りにし妹は待てど来まさず