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幸はひのいかなる人か黒髪の
白くなるまで妹が声を聞く

歌の意味
どれほど幸せな人なのだろうか、黒髪が白くなるまで妻の声を聞いているのは。
鑑賞
巻第七 挽歌 1411

詞書なし(挽歌の部)
 黒髪が白くなるまで妻の声を聞いていられるのは、どれほど幸せな人なのかと詠む一首である。年老いるまで妻と連れ添える人をうらやむことで、若くして妻を失った自分の悲しみを表している。
 挽歌の部の八首目である。前歌が二度とない生を嘆くのに続き、この歌は妻と長く連れ添う他人をうらやむ形で、同じ喪失の悲しみを詠んでいる。作者は未詳である。

 初句「幸はひの」は、幸福の、の意である。
 二句「いかなる人か」は、どのような人なのか、の意。係助詞「か」は結句の連体形「聞く」と呼応する。
 三句「黒髪の」は、黒い髪が、の意である。
 四句「白くなるまで」は、白くなるまで、の意で、年老いるまで長く連れ添うことを表す。
 結句「妹が声を聞く」は、妻の声を聞いている、の意。二句の「か」を受けて連体形で結んでいる。

さきはひ:幸福、幸い
出典
万葉集
前の歌
世間はまこと二代はゆかざらし 過ぎにし妹に逢はなく思へば
次の歌
我が背子をいづち行かめとさき竹の そがひに寝しく今し悔しも