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薦枕相枕きし子もあらばこそ
夜の更くらくも我が惜しみせめ

歌の意味
薦の枕を共にして寝た妻がいるのならばこそ、夜が更けてゆくことも私は惜しむだろうに。
鑑賞
巻第七 挽歌 1414

詞書なし(挽歌の部)
 共に枕を交わして寝た妻がいるならば、夜が更けてゆくのも惜しむだろうに、と詠む一首である。妻を亡くした今は夜更けを惜しむこともないという、ひとり寝のむなしさを表している。
 挽歌の部の十一首目である。前歌の気長な心も持てない嘆きに続き、この歌は妻のいない夜のむなしさを詠んでいる。作者は未詳である。

 初句「薦枕」は、薦で作った枕の意で、「相枕く」にかかる枕詞とされる。
 二句「相枕きし子も」は、枕を共にして寝た妻も、の意である。
 三句「あらばこそ」は、いるならばこそ、の意。係助詞「こそ」は結句の已然形「め」と呼応する。
 四句「夜の更くらくも」は、夜が更けてゆくことも、の意である。
 結句「我が惜しみせめ」は、私は惜しむだろう、の意。「こそ〜め」の係り結びで、今は妻がいないので惜しむこともないという反実の意を含んでいる。

こもまくら:薦を編んで作った枕
あひまく:互いに腕を枕にして共に寝る
出典
万葉集
前の歌
庭つ鳥鶏の垂り尾の乱れ尾の 長き心も思ほえぬかも
次の歌
玉梓の妹は玉かもあしひきの 清き山辺に撒けば散りぬる