沫雪かはだれに降ると見るまでに
流らへ散るは何の花ぞも
- 歌の意味
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淡雪がまだらに降っているのかと見まがうほどに、流れるように散り続けているのは何の花なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1420
詞書「駿河采女の歌一首」
はらはらと舞い散る花びらを、まだらに降る淡雪と見まがい、いったい何の花なのかと問いかけた歌である。散る花を雪にたとえる見立ては、のちの和歌で広く好まれる趣向で、その早い例といえる。
作者の駿河采女は、駿河国から宮廷に出仕した采女である。名は伝わらない。
初句「沫雪か」の「か」は疑問を表し、泡のように消えやすい淡雪かと思わせる。
二句「はだれに降ると」は、雪が薄くまだらに降るさまである。散る花びらを雪のように感じた作者の目が示されている。
三句「見るまでに」は、そう見えるほどにの意である。同じ句は本巻の第千六百四十七首にもあり、そちらは雪を梅の花が散るかと見る逆の見立てになっていて、花と雪の見立てが巻の春と冬とで呼応している。
四句「流らへ散るは」の「流らふ」は、流れるように降り続けたり散り続けたりすることである。
結句「何の花ぞも」は、係助詞「ぞ」と終助詞「も」で、驚きを込めて花の名を問う。答えを明かさずに問いのまま終えることで、散る花の美しさを印象づけている。
はだれ:雪がまだらに薄く降り積もるさま
ながらふ:流れるように降り続く、散り続ける
- 作者
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駿河采女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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神なびの石瀬の社の呼子鳥 いたくな鳴きそ我が恋まさる
- 次の歌
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春山の咲きのををりに春菜摘む 妹が白紐見らくしよしも