春山の咲きのををりに春菜摘む
妹が白紐見らくしよしも
- 歌の意味
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春の山に花が枝もたわむほど咲いている中で、春菜を摘むあの娘の白い紐を見るのは、なんとも心地よいことだ。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1421
詞書「尾張連の歌二首[名闕けたり]」
花が枝をたわませるほど咲き満ちた春の山で、若菜を摘む娘の白い紐を見る楽しさを詠んだ歌である。花の盛りの山の色と、娘の衣の白い紐とが鮮やかな対比をなし、春の野遊びの明るさを伝えている。
作者の尾張連は、尾張氏で連の姓をもつ人物である。題詞に「名闕けたり」とあり、名は伝わらない。
初句「春山の」は、花の咲く春の山を示し、一首の舞台を定める。
二句「咲きのををりに」は、花が枝もたわむほど咲き茂っている中での意である。山全体が花に満ちているさまをいう。
三句「春菜摘む」は、春の若菜を摘む娘の姿を描く。本巻の第千四百二十七首、第千四百四十二首にも「春菜摘む」の語がみえ、若菜摘みが春雑歌の一つの主題となっている。
四句「妹が白紐」は、娘の衣の白い紐である。山の花の色の中に白を点じ、視線を一人の娘へと集める。
結句「見らくしよしも」の「見らく」は見ることの意で、強意の「し」と詠嘆の「も」を添え、見ることの喜びを率直に言い表している。
ををり:花などが枝もたわむほど咲き茂ること
はるな:春に摘む若菜
- 作者
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尾張連
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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沫雪かはだれに降ると見るまでに 流らへ散るは何の花ぞも
- 次の歌
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うち靡く春来るらし山の際の 遠き木末の咲きゆく見れば