春の野にすみれ摘みにと来し我れぞ
野をなつかしみ一夜寝にける
- 歌の意味
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春の野にすみれを摘みに来た私は、野に心ひかれて立ち去りがたく、一夜をそこで寝てしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第八 春雑歌 1424
詞書「山部宿禰赤人の歌四首」
すみれを摘むつもりで春の野に来たところ、野のあまりの心地よさに帰りがたく、そこで一夜を明かしたと詠む歌である。自然への深い愛着を素直に表した一首として名高く、赤人の春の歌を代表するものとされる。
作者の山部赤人は、奈良時代前期の宮廷歌人である。清らかな叙景歌にすぐれ、後世、柿本人麻呂と並び称された。
初句「春の野に」は、一首の舞台となる春の野を示す。
二句「すみれ摘みにと」は、野に来た目的を示す。すみれは食用や染料として摘まれたともいわれる。本巻の第千四百四十四首、第千四百四十九首にも「つほすみれ」が詠まれている。
三句「来し我れぞ」の係助詞「ぞ」は、結句の「ける」と係り結びをなす。ここで作者自身を強く押し出している。
四句「野をなつかしみ」は、「〜を〜み」の形で、野に心ひかれるのでの意である。
結句「一夜寝にける」は、三句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ。目的のすみれ摘みを越えて一夜を過ごしてしまったという結末に、春の野への愛着の深さが表れている。
ぬ:寝る、眠る
- 作者
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山部赤人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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去年の春いこじて植ゑし我がやどの 若木の梅は花咲きにけり
- 次の歌
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あしひきの山桜花日並べて かく咲きたらばいたく恋ひめやも